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宝生会 五雲会

宝生会 五雲会
日時 2011/10/15(土) 12時開演
場所 宝生能楽堂
能「三輪」

シテ 大友順
ワキ 則久英志  間 善竹大二郎
笛 小野寺竜一、 小鼓 森澤勇司、大鼓 佃良太郎、太鼓 大川典良

狂言「御茶の水」

大藏教義、大藏彌太郎、榎本元

能「女郎花」

シテ 東川光夫
ツレ 藪克徳、ワキ 宝生欣哉、間 大藏基誠
笛  寺井宏明、小鼓 住駒充彦、大鼓 飯嶋六之佐、太鼓 三島元太郎

能「松虫」

シテ 佐野登
ツレ 渡邊茂人,内藤飛能,今井基、ワキ 安田登、間 善竹富太郎
笛  一噌隆之、小鼓 幸正昭、大鼓 原岡一之

狂言「呼声」

宮本昇、善竹十郎、大藏吉次郎

能「殺生石」

シテ 小倉伸二郎、ワキ 梅村昌功、間 大藏千太郎
笛 槻宅聡、小鼓 田邊恭資、大鼓 柿原弘和、太鼓 助川治



今回初めて知った五雲会。
宝生流の中堅・若手が競い合う場、とのこと。
考えたら、宝生流のお能も初めて拝見する。
宝生らしさ、ってなんでしょう。

小さい(見開きB5サイズ)けれど、充実した内容のパンフ。
曲の説明分に個性があり、(書き手がどなたかは存じませんが)
人柄が偲ばれて読むのも楽しい。

『三輪』
大好きな奈良の大神神社のある三輪のお話し、ということで楽しみ。
しかも玄賓僧都も登場。玄賓庵、たまたま寄ったことがある。
ワキ、玄賓僧都は昨日拝見した銕仙会の舞台でワキツレをされていた
と思う。声がとても綺麗。角のない声、というか。
シテは前シテでは里の女で、後シテでは三輪明神。
前シテは控えめな印象。信心深いシキミと閼伽の水を持ってくるが
どこの誰かはわからない。どこに住まいか、とワキが尋ねると三輪山、と
答える…だったと思う。僧都に夜寒を凌ぐ上着を借りて姿を消す。
すると、三輪のご神木に上着がかかっているのを里人が見つけ、僧都に
確かめるように促す。
ご神木が作り物として登場。これがなんとも可愛らしい形。
電話ボックスの背丈の低い程度の立方体の前方上部にブロッコリー
くらいの木の作り物が付いている。
小さい木と木の間に、僧都が女に貸した着物がぺろん、と掛かっている。
不思議なことが、と。
前シテは地味で控えめでよいと思うのだが、後シテが登場して
なんだかしっくりこないな、と思ったら、神に見えない。
三輪のご神木は巳の杉である。お能もそれを想定していると思う。
(そのくらいの樹齢はゆうにある)
木の精ではなく、明神だとすると、もっと堂々として良いのでは。
笛方、小野寺師の笛はどこか上品でいて、今回は強さも充分にあったと
思う。太鼓も鼓も明神らしさを後押ししていたと思うが。

『女郎花』
読みは「おみなえし」ではなく「おみなめし」だそうだ。
7月に受講した「うた」をテーマにした講座では女郎花はとてもよく
歌に歌われた花だそうで、=女性を指す単語としても扱われていた
らしい。花に添い寝する、というような歌が例にひかれていたが
そのときの先生は「あんな臭い花に添い寝はできませんけどね」と
おっしゃっていた。
小野頼風の霊が後シテ。シテツレはその妻。妻は夫の通いが絶えた
のを嘆き入水。それを知った夫も無常を悟り後を追う。という
ちゃんと通っていたら死なずに済んだのに、と言っては話に
ならないが…。
ワキの宝生欣哉さんは実に上品。こんな御僧がいたら、里の者など
驚いてしまいそう。
お能に登場する旅の僧はイタコみたいなものなのだろうか?
幽霊が話しかけすぎのような気が。
笛・寺井師の演奏は舞台では初めて。三島師の太鼓は軽快。
飯嶋師は初めてだと思うが、修行僧のような風貌。打音も姿も
厳しい。
二人して自死したので、成仏したいのに、できないんですという
(それが原因ではなくて邪淫が理由と解説には書いてあります)
のをお経を上げてもらって成仏。
なぜ女郎花かというと、妻が入水時に着ていた着物が山吹色で
墓から生えてきたのが女郎花。
どちらかというと、成仏できなくて辛い、苦しい、というよりは
相手に先立たれて、初めて己の愚かさに気づいたけれど、後悔
先に立たずで…こんな状況になってしまいまして…、と辛さみたい
なものはそれほど感じず。

『松虫』
謎の物語。幽霊であるのはいつものとおりなのだけれど
ワキ(酒を商う男)から酒を買っていく男たち。
彼らがうたう詩について尋ねると、ある話を物語る。
仲の良い男二人がおり、歩いていると松虫の音が聞こえ、ひとりが
その音のする方へ行く。待っている方が戻ってくるのが遅いので
様子を見に行くと事切れていた、とだけある。死因不明。
残された側のその後、も特に触れられていないらしい。
化けて出てくる理由が明らかにされていない。
出てくる=浮かばれない=未練、と思うのに、浮かばれてはいない
ものの、この話では化けて出てるのに酒宴なんてしてたりする。
その辺りが、????なまま。
どうやら、ずーっと一緒、と約束(したかはわからないが)したのに
先に死んでしまったものだから、その相手への思い故にこの地に
留まらせたのでしょう、というところまでは理解。
冒頭、シテツレを引き連れシテが登場するが直面なのにも驚き。
恨みもないのに、後シテは恐い顔の怪士面。何故?
こういうことは疑問に思うべきではないのだろうか。こういうもの!
として鑑賞すべきか。

アイの富太郎師はかなり恰幅が良い方だが、それが実によい個性に
なっていると思う。キレの良い明るい語り口。

『殺生石』
この曲は8月以来二度目。随分と雰囲気が違う。前は観世流。
前3曲とも緊張感が桁違いに違う。
作り物(台の上に石)は基本的には同じ形。
全体的に始まってすぐから舞台上に美しい規律のようなものを感じる。
はまるべきものがはまると動き出す精妙な仕掛けのような。
万媚という面はこの演目と紅葉狩りにしか使われない面だそうだ。
魅力的な顔立ちだが、ほんの少し下を向いただけで、この女性は
人が死のうと苦しもうと毛ほども心動かされることなどない、という
底知れぬ恐ろしさが前シテの体表面に薄い陽炎のようにまとわり
ついて見える。人間が考えうる悪意より透徹した残酷さ。
美しいがヒトではない存在がそこにある。
作り物の岩が左右に割れるところ、後見の腕の見せ所、というのも
おかしいが、実にきれいにさっ、と割れた。あんなに大きく、しかも
ぐらぐらしたものは目に付くものだが、鮮やかに舞台からはけた。
後見の息が合ってないとこうはいかないと思う。
岩から出てきたのは赤頭に小飛出の面の後シテ。野干、九尾の狐な
わけです。後ろを向いたら赤頭の中に一房だけ白い。
これで狐を表しているのでしょうか。
ここからは目にも留まらぬ動きの連続。実にキレのある舞でした。
もうちょっと見ていたいな、といううちにあっという間におしまい。
迫力のある舞台でした。
お隣の人とすごかったですね~とお互い笑顔。大満足の一曲。
by Neko-Dama-c | 2011-10-15 11:42 | お能


つれづれ生きております


by Neko-Dama-c

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