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宝生会 月並能 ~風雪に起つ

2012年12月9日(日) 宝生会 月並能 12時開演11時開場 16時45分頃終演予定 宝生能楽堂

能「巻絹 イロエ」 
 シテ 登坂武雄
  ツレ 小林晋也
  ワキ 安田登
  アイ 高野和憲
  笛 槻宅聡 小鼓 鵜澤洋太郎 大鼓 内田輝幸 太鼓 金春國和
  後見 宝生和英 前田晴啓
  地謡 東川尚史 大友順 高橋亘 藤井雅之 
      武田孝史 今井泰男 高橋章 三川淳雄 渡邉荀之助 朝倉俊樹

狂言「横座」 
 シテ 野村万作
  アド 石田幸雄 中村修一

能「松風」 
 シテ 大坪喜美雄
  ツレ 辰巳満次郎
  ワキ 宝生閑
  アイ 竹山悠樹
  笛 藤田次郎 小鼓 曽和正博 大鼓 安福建雄
  後見 小林与志郎 佐野由於
  地謡 和久荘太郎  小倉伸二郎 金森秀祥 山内崇雄 東川光夫
      當山孝道 三川泉 亀井保雄 今井泰行

能「車僧 白頭」  素晴らしいインタビュー記事が!
 シテ 近藤乾之助
  ワキ 工藤和哉
   アイ 深田博治
  笛 一噌幸弘 小鼓 観世新九郎 大鼓 亀井広忠 太鼓 観世元伯
  後見 本間英孝 中村孝太郎 水上優
  地謡 小倉健太郎 野月聡 佐野登 金井雄資
      水上輝和 田崎隆三 小倉敏克 武田孝史→渡邊荀之助



登坂武雄さんは、お名前もお顔もわかりません。

目当ては近藤乾之助さんの「車僧」です。

でも、満次郎さんの「松風」ツレも楽しみ。強い村雨~♪

安田さんのワキ、すーっごく久しぶり。今年初ではなかろうか。

巻絹。
地謡と囃子と面(多分ますかみ)が良かった。
シテはそれほどお年ではないみたいだけど、ちょっと足元がペタッと…。
以前見た金春会での「巻絹」ではツレは方に絹をくくりつけた棒(荷物)を
掛けていたけれど、宝生流のツレは巻絹を肩に掛けません(手ぶら)。
ツレ、丁寧さは感じたけれど、謡が謡になっていないというか。棒読みっぽい。
全く曲には関係ないけれど、ワキ安田さんとツレ小林さんの顔つき?骨格?が
似てるなぁ、と。
太鼓がいつもと音色が違っていて、高い綺麗な音~?と思っていたら
どうも違う太鼓を持ってきていたみたい。胴の色が明るい色だった。


松風。
まずシテとツレの体格差に驚く。遠近感がヘン。一の松、二の松、三の松、の遠近感より
シテとツレの体格差からくる遠近感の方がはるかに強い。
ものすごくしっかりものの妹・村雨という雰囲気。
ワキはさすがの宝生閑師である。
木でできているのか、木のような色の石なのか、小粒の明るめの茶色の数珠が
いかにも旅の僧という雰囲気をそっと添えている。
いつものごとく、泊めてくれ、いえいえこんなボロ屋には……というやりとりの挙句、
お泊めいたしましょう、ということにはなるのだが。
確認は出来てないけれど、シテは節木増。ツレは小面。
節木増は小さい目に白い顔、小さめの眉、ぽわん、とどこか呆けたようにすら見える。
片や小面はむっちりと生き生きとしてさえ見えるハリのある顔。
シテの大坪さんは以前「杜若」を見たときにあまりこれといった印象が無かったので
(正直おもしろくなかった)
そのつもりで見ていたのだけど、形見の長絹と烏帽子を手にしたあたりとか
とても綺麗だった。
そして松風が妄想に取り付かれて松に近づこうとするのを
はっしと力強く止める村雨。うーん、確実な制止。一瞬の緊張。
こういう箇所に満次郎さんのドラマ性みたいなのが表れるなぁ、と。
その後の舞も綺麗だったけれど、どうも途中でお疲れが出たのではないかと思う。
よよよ、となる瞬間がわかった。ちょっと残念。
でも全体的には良かったと思います。綺麗。
地謡は前半の方がなぜか良かった。後半はシテの舞に合わせてたらバラけた、みたいな
感じかもしれない。
アイ竹山さんは苦手なのできびしめに見てしまうが、やっぱり他の人との間合いが
なんだか気持ち悪い。
囃子はこの曲も素晴らしかった。特に藤田次郎師の笛。


車僧。
言葉を探していたんだよ~。
貧相な語彙では語れん。

幕の内から響く厳然たる謡。
あれで完全に空気が出来たと思う。場の創設。
本来、第一声ってそういう力が、というか、そういうものでなくてはいけないと思う。
シテ第一主義は批判もされるだろうが、シテが舞台を作るのは間違いない。
シテだけで作れるものでも当然ないわけだが、
シテのこの一声で、板に上がった全ての人、存在がその曲になるのではないだろうか。
そういう力があの声にはあった。
大音声ではもちろんない。それどころかどこかふんわりと柔らかい弾力のある謡。
強さだけに任せる支配力ではなく、遠心力とでも言えばいいだろうか。
中心、なのだ。
もちろん、お年は召しているわけだし、先日体調も崩されたと聞く。
表れた山伏姿の師は真っ白い髪に兜巾をいただき、まるで険しい峯を渡るかのように
立っていた。
その姿は岩山にかろうじて根をはる木が風に耐え曲がりに曲がり
葉も千切れ、そんな枝に風に向かってとまる猛禽類、年ふりて黒い羽も白くなり
(本来鳥にはそういうのないんだろうけど)
艶も失い、それでも眼差しの強さは失わず、そんな雰囲気に見えた。
(まわりくどーい…言葉足らず…)

大べしの囃子にのって天狗が現れる。
白頭の小書きがついているので後シテは荘厳とも思える姿。
運びは小さく、進みはゆっくりなのだが、それゆえに車僧の存在もより偉大なものになっていくかのよう。
橋掛りで、すっ、と左右に肘を張り構えを作る。
この天狗が、この地を、自然を支配しているのだ、という存在感。
骨化した幹を持つ松の盆栽のよう。
鉢に植わっていても、立派な盆栽はときとして大樹に見える。
何を内包しているか。それをいかに表現できるか。

車僧も相手を敬っているのだ、と思える舞台。
by Neko-Dama-c | 2012-12-09 12:00 | お能


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by Neko-Dama-c

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